ついに来た!投資型クラウドファンディングの融資先情報が開示の流れへ!

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2018年6月17日の日経新聞記事がこちら。


引用元:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31871260W8A610C1MM8000/

※記事全文は、是非日経ID登録のうえ御覧下さい。長い記事ではないですが、クラウドファンディング投資を検討しているのなら、目を通しておく価値あります。

要点を(わたしなりに)まとめると、

  • これまで、貸付型クラウドファンディング投資において、資金の実際の融資先の具体的情報については、わたしたち個人投資家に対し、開示されていなかった。
  • 上記の「非開示」の原則は、クラウドファンディング事業者の意向によるものではなく、貸金業法による規制の影響によるもの。
  • ただし、実際の融資先の企業名等が「非開示」であるがために、過去、不正・悪用の例もあった。
  • 金融庁は、2018年中に、融資先の具体的な情報について、開示してもOK、との通知を出す予定。
  • この「(融資先の)見える化」が進めば、悪用を防ぐ効果と、投資家をさらに呼び込む効果、双方が期待できる、と、政府の規制改革推進会議は見ている。

とのこと。

わたしたち個人投資家としては、まず、「歓迎」をしてよい流れです。

これまでの貸付型クラウドファンディング投資は、ある意味「闇鍋」状態。

現行クラウドファンディング投資においては、何はともあれ、クラウドファンディング事業者を信頼するしかない、というのが、原則でした。
資金の借り手事業者の具体的情報は、各ファンドの概要情報において、「不動産事業者A」等と表現されている程度で、とてもではないですが、わたしたち個人投資家の立場から、事業者を特定することは出来ません。
融資先事業者の「資金使途」についても、同じく、「あくまでも、ファンド概要情報に記載されている情報を、信頼するしかない」という状態でした。

「業界の有力企業が、将来性の極めて高い、太陽光発電事業に取り組む!」
ための資金募集、と書かれていても、本当は、
「クラウドファンディング事業者の社長の親族が、趣味で飲食店を開くために、お金を調達したいと思った」
等という、とんでもない資金使途であったたとしても、おかしくは無かったわけです。

ですから、まず第1優先としては、「ちゃんとしたクラウドファンディング事業者を選ぶ」ことが、とにかく重要だったわけです。
誠実なクラウドファンディング事業者、ファンド概要で虚偽記載をしたりしないクラウドファンディング事業者。
そういうクラウドファンディング事業者が選び抜いて、そことお付き合いをしていく、という姿勢が、肝心だったわけです。

情報開示が進めば、投資案件を、より緻密に精査できる。

今後、融資先企業の具体的情報の開示が進めば、上述の「闇鍋」状態は、基本的に、撤廃されるでしょう。

  • クラウドファンディング事業者の身内(親族)の経営する会社に融資、などは、論外、となるでしょうし、
  • 自転車操業をしている会社(=ファンドから資金を借り、そのファンドへの償還が近づくと、また新たなファンドを組成してもらって、借り換える、というのを、繰り返している会社)も、クラウドファンディングを通しての資金調達が難しくなるでしょう。

開示される情報の程度にもよりますが(※詳しくは後述します)、もし、想定される最大限の情報開示が為される、ということであれば、

  • 融資先企業に関する具体的情報のみならず、
  • 融資先企業が、担保として提供する、担保物に関する詳細情報も、明らかになる可能性があります。

もしもそうなれば、各ファンドへの出資是非の判断は、より緻密に行えるようになります。
その気になれば(たとえば、担保物が、不動産なのであれば)、担保物を実際に、自分の足で、見に行ったって、いいわけです。
登記事項証明書も、自分たちで閲覧すればいいことです。

「担保物(不動産の場合)の評価額は、本当に妥当なのか。」
「その不動産には、先順位抵当権が付いてしまっているのではないか。」
そんな不安は、自分の目で物件をきちんと見れば、一発で解消されるではないですか。

わたしたち個人投資家にとって、まさに、福音と言っても良い、規制緩和だと思います。

ただし、情報開示については、いくつか、疑問も。

今回の日経新聞の報道に関して、少なくとも、本記事執筆本日現在、金融庁のウェブサイトには、具体的な情報の掲載が見当たりませんでした。
このため、「融資先企業に関する情報開示が可能となる」といっても、いくつか、疑問は残ります。

情報開示は、義務となるのか、任意となるのか。

前述の日経新聞記事では、「情報開示が【可能となる】」との表現となっています。
情報開示が【義務化されるのか】、あくまでも、【任意なのか】、という点については、現時点では、明朗な情報がありません。

ただし、わたしの個人的な見解として、

  • 融資先企業に関する情報開示が、少なくとも、「可能」となる以上、
  • それでも尚、情報開示を「しない」という選択をするクラウドファンディング事業者は(※そのような事業者が存在すれば、ですが)、淘汰されていくこととなるものと思います。

ごく普通に考えて、
「年利10パーセント! でも、どこの会社に資金融資をするかは、内緒です。情報開示は法令で許されていますが、敢えて、開示は差し控えます」
というファンドと、
「年利は5パーセントです。資金の融資先は、株式会社〇〇です。代表者は〇〇という人物です。担保物は、同社が所有する不動産(土地・建物)であり、〇県〇市〇町〇番地にあります。登記事項証明書を御覧頂ければと存じますが、現在、有効な抵当権は設定されていません」
というファンド、どちらに投資しますか?

わたしだったら、完全に後者です。

どの程度の開示が為されるのか

「融資先企業」に関する情報開示が可能となる、とのことですが、

  • 単に、会社名だけが開示となるのか、
  • 担保物に関する情報や、
  • 返済原資確保に関するその余の情報等々についても、開示対象となるのか、

という点については、現時点では、まだ分かりません。

担保物に関する情報が開示されることの意義は、上述した通りです。
そのほかに、例えば「ファンドからの融資金を原資に仕入れる不動産を第三者に売り抜けることによって、元利金の返済原資を確保する」というタイプのファンドであれば、その売却計画の具体的な情報(例:既に購入意思を示している企業名等)が開示されれば、わたしたち個人投資家にとって、投資是非の判断は、より緻密さを増すこととなります。

そのように深度のある情報についても開示対象となるのか、どうか、という点については、大きなポイントとなってくるでしょう。

いずれにせよ、貸付型クラウドファンディング業界にとっては、大きな追風となる規制緩和でしょう。

「投資家保護」の姿勢が鮮明に打ち出された、規制緩和だと思います。
時々、行き過ぎた「投資家保護」姿勢は、かえって投資家を遠ざけてしまうことになる場合がありますが、今回の施策は、クラウドファンディング投資に、わたしたち個人投資家をさらに惹き付ける契機となり得るものだと、私は考えています。

本ブログとしても、今後の流れに注目し、適宜、ブログ更新を行っていきたいと考えております。

それでは、本記事は一旦ここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう。