スマートレンドにて、「【クレジット債権担保付き】事業支援型ローンファンド 第66号」のクラウドファンディングが公開されています。
本クラウドファンディングの概要
同社のホームページから確認した、本ファンドの概要としては、下記の通りです。
なお、案件1、及び案件2のうち、資金の大半を融資する「案件1」のほうに関してのみ、下記、詳説をさせて頂きます。
本クラウドファンディングの詳細情報ページのURL
こちらです。
↓
https://www.smartlend.jp/fund/detail?fund_id=462
本クラウドファンディングのスキーム図
引用元:https://www.smartlend.jp/fund/detail?fund_id=462
資金の借り手
クレジットカード事業を営み、事業開始から7年間が経過した、「事業者I」、という企業が、本事業の債務者となります。
同社のクレジットカード事業の具体的な内容としては、
- 優良なエステティックサロンを、自社専用クレジットカードの加盟店とし、その加盟店を利用する女性客にクレジットカードを発行、女性客から利用代金を割賦にて徴求・回収できる金融サービスを提供している。
- 独自の厳格なる加盟店審査の下、優良エステに対する加盟店化の促進に力を入れ、割賦返済でのエステ利用を容易にしたことから、女性客に大変好評を得ている。
- 開業7年経過し、加盟店数約500店舗、利用中客数約13,000人の事業規模となり、安定的な事業運営が継続されている。
- エステ利用という目的が明確なクレジットカードのため、女性客のクレジット支払状況は良好で、分割回収金の回収率は約99%に及ぶ。
- 実質自己資本比率は40%前後と健全な財務内容となっている。
- 「包括信用購入あっせん業者登録」(経済産業省)の認可を受け、関連法令を遵守したクレジット会社である。
上記のような情報が記載されています。
貸付資金の総額
1,000万円の貸付となります。
借り手の資金使途
事業者Iの事業性資金として、顧客のクレジットカード利用に伴う利用代金の立替や、債務の借換等に利用される、とのこと。
本クラウドファンディングの貸付・運用の期間
11 ヶ月の貸付・運用となります。
設定担保
融資金に対し110%のクレジット債権を担保とし、債権譲渡登記を行う、とのこと。
また、
- SmartLendは、万が一の担保権実行に備え、法務大臣の許可を得た債権回収会社(以下「サービサー」)との間で業務委託契約(バックアップサービシング)を締結。
- SmartLendは、毎月担保債権の情報をサービサーと共有するほか、サービサーは、担保権実行が迅速に行えるよう担保債権の譲渡通知をあらかじめ保持し、不測の事態に備え待機する。
- 万が一、事業者Iが債務不履行や倒産となった場合、SmartLendは担保権を実行し、同時に担保債権の管理回収業務をサービサーに実行させる。
- サービサーは、担保債権からの返済金を直接受け取り、SmartLendへ引き渡す。
- なお、当該サービサーは、設立15年以上経過したサービサーである。
上記の情報も記載されています。
返済原資
顧客からの分割回収金のほか、金融機関等からの借換資金が、返済原資に充てられる、とのことです。
わたしたち個人投資家の期待利回り
7.50パーセント、とのこと。
本クラウドファンディングのポイント
私が考える、本ファンドのポイントは、下記の通りです。
なお、いずれも、私の個人的な見解です。
一見、至極手堅い構成。その割に、利回りも低くない。
- そもそも、事業者Iによる、女性客からの分割回収金の回収率は、約99%に達している。
- さらに今回、スマートレンドとしては、融資金に対し、110%のクレジット債権を担保とし、債権譲渡登記を行う。
- そうして担保権を設定した債権を、いざ、担保権に基づき、回収する、というときは、設立15年以上経過したプロのサービサーと提携して行う。
ということで、一見、至極堅めの保全設定が為されているように見受けられます。
それでいて、利回りは7.5パーセント、とのことですから、なかなかの高利とも言えます。
リスク・リターンのバランスを総じて勘案すれば、好条件のファンドであるようにも見受けられます。
実際には、いくつか、読み切れない点がある。
一見好条件に見えるファンドですが、ディテールを見ていくと、いくつか、(個人的に)気になるところがあります。
①バックアップサービサーの債権回収は、どの程度の割合で成功するか。
スマートレンドとしては、事業者Iへの貸付額の1.1倍(110パーセント)のクレジット債権に、担保権を設定し、
いざ、この担保権を行使する必要が生じた場合は、行使の実務については、バックアップサービサーにやらせる、とのことですが、
このバックアップサービサーが、果たして何パーセント程度の債権回収に成功する見込みであるのか、については、現状、情報がありません。
事業者Iは現在、客から、99パーセント、クレジット債権の回収に成功している、とのことですが、
それは事業が通常運行している間の事柄・実績であって、
いざ、事業者Iが、期限の利益を喪失するような事態となった場合、その時には、事業者Iの事業そのものに、何らかのトラブルが発生している可能性が高くあります。
例えば、客に対して加盟店が謳っていたエステ効能に、不当な表示があり、それが原因で、客がエステ店に対して集団訴訟を起こし、法的専門家の指導のもと、クレジット債務の支払いを、留保している、等という事態です。
万が一、上記のような非常事態が発生した時、バックアップサービサーは、どの程度の率の債権を、無事に回収できるのか。
その点については、現状、情報がありません。
念のため、私のほうで、maneoマーケット株式会社に対し、問い合わせを入れてみましたが、残念ながら、本情報については、具体的な回答を得ることが出来ませんでした。
このため、いざ、担保権を行使せざるを得ないシチュエーションが発生した際、
貸付額に対して1.1倍相当のクレジット債権は、果たして、どれだけ回収されうるのか、という点が、不明瞭です。
なんといっても、クレジット債権を既に第三者が買い取ってくれる話がついているわけではなく、あくまでも、「回収できるだけ頑張って回収しますよ」という契約が締結されているだけ、という点がポイントとなります。
ご存知の方も多いことと思いますが、エステ店のサービスは、特定商品取引法でいう、「特定継続的役務」に該当しており、消費者としては、エステ店と契約後であったとしても、所定の条件を満たせば、クーリングオフを行うことが可能です。
すなわち、「貸付額の110パーセント相当額のクレジット債権」と言っても、少なくともその一部においては、顧客によってクーリングオフされてしまう可能性を内包しているわけです。
この点には、確実に、留意を要するものと思います。
②バックアップサービサーの、成功報酬料率は、どの程度か。
もしも、クーリングオフの憂き目にも合わず、バックアップサービサーが、額面通り、すなわち、スマートレンドからの貸付額の110パーセント相当額の債権全額の回収に、成功したら、と仮定します。
この場合においても、その全額がスマートレンドの口座に送金されてくるわけではありません。
バックアップサービサーの成果報酬が発生するからです。
この、バックアップサービサーの成果報酬の料率についても、私のほうで、maneoマーケット株式会社に対し、問い合わせを入れてみましたが、残念ながら、本情報については、具体的な回答を得ることが出来ませんでした。
総じていえば…
- 利回りはまあまあ。
- 保全に関し、担保権を設定する資産(事業者Iが有するクレジット債権)の少なくとも一部については、消費者によるクーリングオフのリスクがある。このため、いざ、担保権を行使し、債権回収を行う際、どの程度の割合の債権が無事に回収できるか、正確な見込みが立ちづらい。
- 債権回収実務を行うサービサーの手数料率が開示されていないため、スマートレンドの実質的な手取り額がどの程度となるか、読み切れない。
という構成と言えます。
各個人投資家それぞれにおいて、冷静な判断が求められるところかと存じます。
本記事執筆現在の資金応募状況は
引用元:https://www.smartlend.jp/fund/detail?fund_id=462
現状、2割弱程度の資金応募、となっているようです。
まとめ
記事中には、私の個人的な見解が、多々、含まれておりますが、
あくまでも、その限りにおいて、
少しでも、「これからクラウドファンディング投資を始めてみよう」とお考えの読者様にとり、ご参考になさって頂ける内容と出来たのであれば、
小ブログの管理人として、嬉しい限りです。
なお、私は現在、国内23社のクラウドファンディング事業者に、資金を分散投資中であり、
本記事にて取り上げた業者のファンドにも、出資をしています。
そんな私が、国内23社中、厳選した3社のみ、「おすすめ事業者」としてご紹介しておりますのが、下記の別記事となります。
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それでは、本記事はここまで。
また次回の記事にて、お会い致しましょう。